「涅槃と浄土の違いを教えて」── 仏教に興味を持つと、必ず出会う疑問です。
涅槃はパーリ語で「ニッバーナ」、サンスクリット語で「ニルヴァーナ」。語源は「吹き消す」です。何を吹き消すのかというと、貪欲・怒り・無知(三毒)という煩悩の炎です。
涅槃は「場所」ではなく「状態」です。生きている間に悟りを得て煩悩から解放されることも涅槃と呼びます。仏教学者の中村元は、涅槃を「安らぎ」と訳しました。
浄土は大乗仏教、特に浄土宗・浄土真宗で説かれる概念です。阿弥陀仏(あみだぶつ)が建立した理想の世界であり、念仏(南無阿弥陀仏)を唱えることで死後にそこに生まれ変わるとされます。浄土は「場所」としての性格を持ちます。
涅槃は原始仏教(テーラワーダ)の中心概念で、修行によって今ここで到達しうる境地。浄土は大乗仏教の中で発展した概念で、阿弥陀仏の力(他力)によって死後に至る世界。どちらが正しいということではなく、仏教の長い歴史の中で異なる道として発展してきたものです。